冬うつの治療のために漢方薬を用いることもあります。
東洋医学に基づいて調合される漢方薬は、西洋医学での薬物療法とは違います。
根本的な改善に力を入れる漢方薬を冬うつの治療に用いてみませんか?
ここでは、冬うつの改善のための漢方薬についてお話しします。
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西洋医学ではうつ病は脳の病気
冬うつのようなうつ病は、心の風邪と表現されることが多いですが、西洋医学においては脳の病気と考えられています。
セロトニンも脳内物質ですから、脳に関係していますね。
その考えに基づいて、減ってしまったセロトニンを増やして自律神経を整える作用がある抗うつ薬などで治療されます。
それに加えて、うつ症状の状態によって認知療法も行なわれます。
認知療法とは、その人の考え方に働きかける治療法で、心を楽にしたり、行動をコントロールします。
東洋医学ではうつ病は心の変化
東洋医学においては、脳ではなく心に重点を置き、冬うつのようなうつ病は心の変化と捉えます。
心の変化に影響があるとされる環境の変化をしっかりとヒアリングしながら、心と環境を把握した上で、原因を探りながら漢方薬を調合していきます。
東洋医学では、心の変化のことを「七情」と言っており、
「怒り」、「喜び」、「思い」、「憂い」、「悲しみ」、「恐れ」、「驚き」
の7つの変化があると考えられています。
環境の変化は「六淫(ろくいん)」と言われており、
「風」、「寒さ」、「暑さ」、「湿気」、「乾燥」、「熱」
の6つの変化に分けられています。
つまり、心の変化の「七情」と環境の変化の「六淫(ろくいん)」が自律神経に影響して、冬うつのようなうつ病が発症すると考えられているのです。
血流を良くする漢方療法
漢方薬は、主に自然治癒力を高めるために用いられます。
冬うつのようなうつ的な症状を抑えるのではなく、症状に勝てるだけの体質へと導くのです。
そこで、冬うつのようなうつ病でまず重視されているのが血流です。
血流を促進して基礎代謝を上げることで、明るい心を取り戻せるように治療していきます。
血流が良くなれば、摂った栄養も体の隅々まで届くようになり、やる気や明るさを取り戻せると考えられているのです。
胃腸を整える漢方療法
漢方薬では、血流の次に胃腸の働きに注目して、薬が調合されます。
冬うつでセロトニンが不足していると、自律神経が狂ってしまい、それにより胃腸の働きにも支障が出ます。
消化器官が弱ってしまうと、栄養の吸収もうまくいかなくなり、自然治癒力もダウンします。
そこで、弱った胃腸の働きをサポートする漢方薬を処方します。
さらに、うつ症状が進行していくと、イライラや不安感、倦怠感も出てきます。
血流改善、胃腸サポートに加えて、症状が重い人には、イライラや不安感、倦怠感を改善するための漢方薬が処方されます。
冬うつに効果の高い漢方薬とは?
それでは、冬うつに効果的な漢方薬をご紹介します。
・高麗人参(こうらいにんじん)
高麗人参は、主に自律神経の副交感神経に働きかけます。
副交感神経は、リラックスモードの時に働く自律神経です。
冬うつのようなうつ症状になると、自律神経の交感神経ばかりが働いて、リラックスするのが難しくなります。
リラックスすることで血流も促進できますね。
・甘草(かんぞう・リコリス)
甘草には肝機能を向上させる働きがあります。
セロトニンを生成するとき、肝臓の機能が不可欠で、肝臓が弱っていると、うまくセロトニン分泌ができません。
甘草で肝機能を向上させて、セロトニン分泌を促します。
・加味帰脾湯(かみきひとう)
加味帰脾湯は血流に作用する漢方薬です。
血液量が少ない貧血気味の人や、うつ症状でイライラがあり、血流も悪い人に処方されます。
また、胃腸にも作用して働きのサポートをしてくれます。
それにより、血液とともに栄養が体の隅々まで届くようになるので、冬うつも改善に向かいます。
・桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
胃腸が弱く、精神的に不安定で、冬うつの症状により睡眠障害が起こっている人に桂枝加竜骨牡蠣湯がおすすめです。
主に、神経の高ぶりを抑えてイライラを鎮める効果があります。
・補中益気湯(ほちゅえきとう)
冬うつの症状で、やる気が出ずに倦怠感がある人におすすめなのが、補中益気湯です。
補中益気湯は、胃腸の働きを助けてお腹の中からエネルギーを高めていく漢方薬です。
・柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
柴胡桂枝乾姜湯も弱った胃腸に働きかけてくれる漢方薬です。
冬うつの症状で、神経が過敏になり、動悸が起こる人にもおすすめです。
いかがでしたか?
漢方薬は、少しずつ効いて体質を改善していく薬なので、西洋医学の薬と比較すると、即効性は低いかもしれません。
しかし漢方薬は、西洋医学の薬のように抑えるだけではなく、根本から改善していくように作られているので、次の年の冬の冬うつ対策にもなります。
次の冬までに、漢方薬でうつにならない体質にしておけば、毎年冬うつを繰り返さないようになります。
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